植木投げの法
東方のssをやってます。霖之助中心です。リンクフリーでございます。
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あなたが客になったから
 結局新しいのは書けず、前回のweb拍手お礼を載せます。
 まったく、なんて怠惰。
 この駄目人間め。

 今回は神奈子さんです。
 カリスマは基本ゼロですので、ご容赦を。

『あなたが客になったから』

『あなたが客になったから』





「む~」
「………」

 香霖堂には神様がいた。香霖堂の『香』の字が云々と言う話しではなく、文字通りの神が。しかし、その神は妙に不機嫌だった。それこそ、柱の一本や二本が降ってきそうなほどに。

「つまらない」
「そうか」

 あからさまに不満を訴える神奈子に対し、霖之助は手にした本から視線すら上げずに頷く。その仕草がますます苛立ちを増大させているのに、霖之助は気付いているのだろうか。

「霖之助、お前、諏訪子にはいい顔してるよな」
「ああ」
「私には駄目なのか?」

 ほんの少し寂しげな声色を混ぜた神奈子。しかし、霖之助は気付かない。しかし、勘定台に顎を乗せて見上げる神奈子の目線にはさすがに気がつき、顎に手を当てる。思案しているような素振りに、少し期待する神奈子。心なしか、いい表情だった。

「…ふむ、ならこういうのはどうだろう?」
「どういうのだ?」

 人差し指を立て、堂々と言ってみせる。

「君が僕の店で買い物をする。その代わり僕は君を信仰する」

 しかしその言葉に、「はん」と鼻で笑ってみせる神奈子。少しだけカリスマが見えた。

「信仰を売リ物にするのかい? 感心しないね」

 しかし、霖之助は退かない。

「いやいや、君が香霖堂のお客になってくれれば、僕も君を神様として敬う事が出来ると言っているんだよ」
「どういうことだい?」

 不思議そうに首を傾ける神奈子。相変わらず霖之助に上目遣いだったが。霖之助は胸を張り、誇らしげにこう告げる。

「ほら、よく言うじゃないか”お客様は神様です”ってね」

 と。



「ああ?」

 しかし、神奈子は納得しなかった。というかむしろ不機嫌に輪がかかった気もする。

「外の世界の言葉だよ。おそらく、日本古来のアニミズムに沿った考えだろうね」

 と、もっともらしく言ってのける霖之助。仕入先はスキマという、ちょっとアレな感じの知識だったが。

「いや、あのな、私は一応客…」
「君と諏訪子さんとの決定的な違いは、商品を買うか否かだ」

 何かを言おうとした神奈子を制し、霖之助は続ける。

「つまり、君は冷やかしだ。香霖堂では客とカウントしない」

 追い討ちを食らい、黙り込んでしまう。そんな事をハッキリと言ってしまう霖之助も霖之助だが。その通りに考えると、香霖堂の客は指折り数えて片手で足りてしまうのだが。

「じゃあ、なにか。私は…」
「厄介者だね。霊夢や魔理沙ほどではないけど」

 愕然とした。意外と足繁く通っていたせいもあってか、彼女にその意識は無かった。しかし、霖之助が言うのだから間違いなくそうなのだろう。そう理解した瞬間、焦りが彼女を動かした。

「じゃあ、なんか買う!」

 いきなり顔を上げて叫んだ神奈子に驚く霖之助。

「なんかって…何を」
「えっと…なんか」
「持ち合わせは?」
「御柱が九本」
「…まぁ、いいか」

 そう言うと、霖之助は店の奥に引っ込んでいった。


不安げに待つこと数分、霖之助が店の出入り口から現れた。驚いてすこし跳ねてしまった神奈子だが、すぐに平静を装う。

「見つけたのか?」
「ああ、これなんだが」

 霖之助の手の中にあったのは、四つのカップだった。形は同じだがそれぞれが違う色をしており、協調していた。

「君たち三人と、あとは来客用にでもと思ってね」

 と言って、勘定台にそれらを置く。それを値踏みするように見る神奈子。霖之助も少し緊張してしまった。

「どうだい?」

 頃合を計り、神奈子に回答を促してみる。少し唸った後、神奈子はゆっくりと顔を上げて、緊張していた顔を綻ばせる。

「よし、買った」

 ふう、と息をつき、霖之助は手近にあった袋にコップを詰めていく。あまり慣れていないというのは、店員としてどうだろうか。そして全てを詰め終え、紙袋を神奈子に渡す。勘定台にはすでに、御代がわりの物が置いてあった。

「まさか本当に御柱とは…」
「なんだ?」
「いや、まいどありがとう」
「いやいや」

 そう言いながら、神奈子は紙袋の中を漁る。少し経った後、紙袋から手を取り出すと、勘定台に持っていたものを置いた。それは新聞に包まれたカップ。先ほどの香霖堂の売り上げだった。

「…気に入らなかったかい?」
「いや、迷惑料だ。神様ってのは、気前が良くなくちゃな」

 満足したように鼻で息を吐くと、ヒラヒラと手を振って香霖堂を出て行く神奈子。いつの間にか太陽は傾いていた。

「それじゃ、また」
「ああ、またのお越しを」

 香霖堂に残ったカップは、綺麗な紅葉色をしていたと言う。それはまるで、どこかの神様のような。
 




 後日、早苗がなにかを買いに来たのは、余談だろうか。




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