植木投げの法
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太公の望まぬ客

 今までは素面萃香でした。
 次は本物萃香を書いてみようかと思います。
 「うひょー」とか言わせたいです。
 あと『天衣無縫』を聞きながらテンションを上げています。
 オススメです、本当に。

 今回は緋想天ネタバレっぽいssなので御注意を。
 書きたいものを書いているので、内容はあまり気にしないでください。


『太公の望まぬ客』


 幻想郷の夏は変わっている。
 雪が降ったり、暴風が吹き荒れたり、霧雨が降ったり、エトセトラ。
 しかしそれも収まり、概ね蚊帳の外だった霖之助にも、平和が訪れた。
 つい三秒前に壊れたが。

「…で、君はなにがしたいんだい?」

 そう問うた霖之助の前には、少女がいた。
 先ほどの天候異変の原因、退屈した青だった。

「いや、変な人だから、挨拶しようかなと」

 いきなり変人認定された霖之助だった。
 天子の目は確かなようだ。
 しかし、当の霖之助にしてみれば、普通に生きているつもりなのに変人扱いされたのだ。
 腹くらい立てもしよう。

「君は変な人を見かけるたびに挨拶するのかい?」
「違うわよ。霊夢達から聞いたのよ」
「ほう。なんて」
「魔法の森の淵に、銀髪眼鏡の偏屈店主がいるって」

 真剣に頭痛がしてきた。
 霊夢達、というのはきっと幻想郷の著名人だろう。
 例えば、スキマとか最速天狗とか、吸血鬼とか。
 その著名人達が口を揃えて先ほどのような事を言っていると思うと、売り上げが伸びる見込みは光年よりもなお遠くなるだろう。

「…で、その偏屈な店主相手に何をしに来たんだい?」
「え? …あれ、何しに来たんだっけ」

 とりあえず来ただけらしかった。
 見たところ天人。
 商売の相手にならないだろうと見て、さっさと帰るように促す。

「何しに来たのか忘れたなら、家に一度帰るといい」
「なんで?」
「財布があるだろう」

 シッシと手を振る。
 邪険に扱いすぎな気もするが。
 しかし、そんな事では天子は帰らない。
 その目は語っていた、「面白いおもちゃを見つけた」と。

「無いわ」
「そうか、君は桃源郷の住民か」
「そう、歌って踊るお天気連中よ」

 霖之助は、顎に手を当てて考え始めた。
 どう言えば、この厄介な冷やかしは帰るだろうかと。

「…なるほど、なら退屈もするだろう」
「そうね。腐るほど退屈よ」
「しかし、地上も存外退屈なところだよ」

 意外な言葉に、首を傾ける天子。
 彼女の中に於いて、地上とは楽しい場所と認定されているのだった。

「なんで?」
「まず、朝に日が昇り、夜には月が出る」
「ふんふん」
「それだけだ」
「前評判通りの変人ね」

 クスクスと微笑む天子。
 しかし、霖之助は続ける。

「君達がいる天上は知らないが、地上ではこれが永劫に繰り返されるんだ。毎日同じ天体を見つめ続けるしかない。毎日同じ天体に見つめられ、照らされる。飽きるほど、飽きても、どれだけ嫌で目を反らそうとも」

 憎々しげに言葉を紡ぐ霖之助に圧される天子。
 そこには妙な圧力があった。

「で、なんでこんな話になったんだっけ?」

 しかし次の瞬間には霧消していた。
 はて、と小さく首をかしげる。
 天子はため息を吐いた。
 変だとは聞いていたが、ここまで飛びぬけているとは思わなかった。

「地上がつまらないって話よ…って、あれ?」
「だそうだ、紫。ちょっと天上まで送ってやってくれ」

 霖之助が言い終わるか否かの瞬間に、天子の足元にはスキマが口を開いていた。
 そして何かを言おうとする天子を飲み込み、消えた。
 しばし静穏。
 聞こえる音はいつもの環境音のみだった。




 萃香が宴会を終えて香霖堂に帰ってくるまであと三時間。
 ルーミアが起きるまであと一時間。
 紫が一仕事終えて香霖堂に来るまであと五分。
 少なくともそれまでは、香霖堂はまた平穏を取り戻したのだった。


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