植木投げの法
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遅く起きた朝は

 なんだかそうでもなかったみたいです。
 というわけで、久々のss更新です。

 リクエストにあった萃霖でございます。
 短いんだかなんだか微妙な長さであることをお詫びします。
 甘目をイメージで書いたのに、なんでしょうねコレ。

『遅く起きた朝は』

「おい起きろ、霖之助」
「ん…? ああ」

 しとしとと雨が降る香霖堂。決して間違いではない。少し早めの梅雨は、香霖堂の周辺にのみ、極めて局地的に降っていた。いつぞやの梅雨の精が、またも香霖堂に住み着いたのだった。しかし、基本的に引きこもりな霖之助は、さして気にしている様子はない。いつもと同じように萃香に揺すられ、重いまぶたを開けるのだった。

「霖之助、なんかまだ降ってるぞ」
「ああ、迂闊に妖精を拾ってくるものではないね」

 そういうと、枕元に置いてあった眼鏡をかける。外に降るのは紛れもなく雨だというのを再認識し、静かに起き上がる。見れば、萃香の髪はボサボサで、着ているものもだいぶぞんざいだった。

「…萃香、髪がひどいよ」

 そう言って、霖之助は萃香の髪を梳いた。一瞬くすぐったそうにした萃香だが、すぐに慌てて自分の髪に手櫛をいれる。

「しょ、しょうがないだろ、さっき起きたんだから」

 萃香は顔を背けてしまった。その様子に微かに笑み、霖之助は立ち上がる。そしてどこかへ歩いていった。困惑する萃香を待たすことはせず、霖之助はすぐに帰ってきた。その手に櫛と小さめの椅子を持って。

「まあ、座って」

 椅子を置き、萃香を抱えて座らせた。いまだ困惑している萃香を尻目に、鼻歌を歌いながら霖之助は櫛で髪を梳く。

「り、霖之助?」
「だめだよ萃香。じっとしていてくれ」

 言って、萃香の頭をなでる霖之助。萃香はまだ何か言いたげな様子だったが、頬を膨らませながらも我慢しておとなしくしている。

「懐かしいな。昔は、ここに魔理沙がいたんだ」

 懐かしげに目を細める霖之助。それに合わせて、萃香の表情が少し翳る。

「そのときは退屈だと騒がれて…ん?」

 そのまま話を続ける霖之助の服を、萃香が掴んだ。引っ張るわけでもなく、ただ自分の存在を忘れてほしくないと言うように、その手には力が籠められていた。

「今は私だ」

 搾り出すように言ったその言葉に、霖之助は苦笑すると、萃香の頭を軽く二度たたいた。フンと鼻息を吐き出すと、手を離して顔を背けた。



 雨脚が激しくなっていたことにも気づかず、二人は一時、無言のままその空気に浸っていた。


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