植木投げの法
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嘘でしか言えない本当

 エイプリルフールssです。
 珍しく霊霖です。
 もう一度言いますが、エイプリルフールssです。
 嘘が嘘の日、意味が裏返しの日です。
 …さすがに言いすぎでしょうか。
 まぁ、ありがちなネタなので大丈夫でしょう。

『嘘でしか言えない本当』





 そろそろ寒さが和らいでて来る四月の初日。
 香霖堂の来客を告げるドアベルが、久しぶりに鳴いた。
 霖之助は本を読む手を一旦止め、

「いらっしゃ…なんだ、君か」
「なんだとは何よ」

 そしてまた本に目を戻した。
 来店したのは紅白の巫女。
 つまりは、冷やかし。

「正直、今日も顔を見たくなかった」
「…ひどいこと言うのね」

 少し傷ついたような表情をしながらも、霖之助がわざわざ隠しておいたお茶っぱをいともたやすく見つけ出し、勝手にお茶を入れた。
 その動作に淀みはなく、まして後ろめたい気持ちなど毛ほどもありはしない。
 少なくとも上辺だけはいつもの彼女。

「君のための物ではないんだが…」
「ちゃんと買ってるじゃない、ツケで」

 半ば諦めながら抗議するが、霊夢は聞く耳を持たない。
 ため息をひとつ。
 お茶を飲んだ霊夢の物か、今日の分は諦めた霖之助の物か。
 気にする者は誰もいなかった。

「気がすんだら帰ってくれよ」
「…今日はなんだかつれないわね」
「僕も忙しいんだ」

 つまらなさそうに本に目を向けながら、実に興味がなさそうに呟いた。
 その態度は言葉のわからない赤子でも分かるほど、退屈だと告げている。
 霊夢はなんとなく、面白くなさそうだった。

「そういえば、今日は何の日か知ってる?」
「いや、知らないな」

 途端、彼女の顔が得意げになる。
 霖之助はそれを胡散臭そうに眺めていた。

「今日は外の世界で"エイプリルフール"って言って、嘘をついても良い日なの」
「それは初耳だ」

 しかし霖之助は態度を崩さない。
 つまらなさそうに目を濁らせていた。
 いつもならば、外の世界の話を持ち出せば簡単に食いついてくる。
 霊夢は少し怪訝な気持ちになりながらも、話を続けた。

「まぁ、実際は嘘をついてもいい日、っていうより嘘をつく日みたいね」
「ふぅん…」

 それでも霖之助は興味なさげに唸りながら、いつの間にか自分用に入れていたお茶を飲んでいる。
 少しだけ霊夢はイラついた。

「…いつもなら、矢も盾もなく食いついてくるのに、今日は反応薄いわね」
「そうだね。まぁ、知らないことだしね」

 変わらず素っ気ない霖之助。
 だが、霊夢は少し矛盾を感じていた。
 今の発言…否、最初から。
 彼女の勘は、何かを告げていた。

「ねぇ、霖之助さん。聞きたいんだけど…」
「…?」
「魔理沙に聞いたのね、エイプリルフールのこと」
「ああ」
「じゃあ文は?」
「それもだね」
「紫」
「いや、彼女は違う」
「昨夜は?」
「まぁ、彼女にもね」

 一通り聞き終わって、霊夢は肺の中身を全て吐き出すようなため息を吐いた。
 『どこまでもメンドクサイ男だ』、とでも言うように。
 実際、頭の中では言っていた。

「質問は済んだかい? そろそろ店を開く準備をしたいんだが」

 と霖之助は立ち上がり、『閉店』の木札をドアにかけに行った。
 霊夢に表情が見えないよう顔をそむけているが、彼女には手に取るように分かっていた。

「さぁ、すぐにでも帰ったらどうだい? 僕はこれから仕事だから」

 そう言って、店の奥に引っ込んでいく。
 笑いを隠しながら、霊夢も後に続く。
 霖之助と腕を組んだりしながら…。






 嘘をつき、そしてあからさまに真実を示した霖之助は。
 火を噴きそうなほど赤くなっていた。




テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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