植木投げの法
東方のssをやってます。霖之助中心です。リンクフリーでございます。
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なけなしの冬
 ホワイトデー後日ssです。
 後日とかってレベルじゃねーのは重々承知しております。
 でも当日に書くのは死んでもいやだったんです。

 今回はレティ霖になってると思います。
 …多分。
 チョーカーなんか着けた事無いので構造が不明です。
 インチキに外してます。
 …書いてるうちによく分らんなった。


『なけなしの冬』

 そろそろ暦の上では春だと言うのに、外は轟々と吹雪いている。
 ストーブは長い休みを前に最後の踏ん張りを見せていた。
 それでも店内は凍えるほど寒く、霖之助はイスに座って縮こまっている事しかできない。
 と言っても。
 寒さの元凶がすぐ隣にいるのだから、しょうがない。

「ホワイトデーって知ってる?」

 縮こまる霖之助の向かいで、ニヤニヤしながらお菓子の催促をする彼女が。
 香霖堂の周囲だけを真冬にしていた。

「ホワイトデーはもう終わったよ」

 寒さのせいで普段以上に素っ気ない霖之助に、レティはため息を吐いた。
 その動作はあまりにもわざとらしかった。
 赤子でも分かってやっていると勘づけるほどに。
 もちろんそれも分かってやっている。

「冬は厳しくて残酷で大雑把なのよ」
「君そっくりだ」
「厳しくて残酷? 雪女っぽくて素敵じゃない」

 少しだけ寒さが和らいだ。
 だが尚も寒く、尚もレティは悪戯そうな笑みを浮かべている。
 霖之助は頭を抱えたい衝動でいっぱいになった。
 なんとか追い返さなければと考える。

「そもそもホワイトデーはお返しの日だ」
「そうね」
「僕は君に何かを貰った記憶は無いんだが」
「それがどうしたの?」

 何も後ろめたい事はないと言うようだった。
 だが霖之助にはその記憶がない。
 そもそも彼女は、霖之助になにも渡してはいない。
 それを知っていると分かっていても、その態度は崩されなかった。

「…君は冬より図太いね」
「女性に使うべき言葉ではないわね」

 少しムッとしたレティだったが、すぐに先程の表情に戻った。
 寒さがまた和らぐ。

「ま、ホワイトデーのプレゼントで無しにしてあげるわ」

 あくまでむしり取っていくつもりらしい。
 「よこせ」と言いたげな手を霖之助に突き出し、それでも表情を崩さない。
 だが、急に言われても、霖之助にそう言った貯えがあるわけでもない。
 渡せるものはほぼ無かった。

「残念だけど、手元には何も無いんだ」
「そう」

 やけにあっさりと引き下がった彼女に、霖之助は少し違和感を覚えた。
 しかしそれも一瞬。
 レティの不敵な笑みが消えていないのを見るや、今度は嫌な予感が押し寄せて来た。

「言っておくけど」

 不安になった霖之助の注意を遮って

「じゃあねぇ…」

 と、霖之助を値踏みするように見始めた。
 レティが何をしているか分からない以上なにも言えず、視線の居心地の悪さから目をそらすように窓の外を見た。
 風は弱まり、雪もおとなしく降っているだけだった。

「じゃあ、これ」

 不意に不自然なほど近距離から聞こえた声で、霖之助は窓から目を離し、レティへと視線を向けた。
 予想通り、目の前にはレティの顔が合った。
 勘定台から身を乗り出し、霖之助の首に手をかけている。
 冷たい彼女の手に身震いしながらも、霖之助はおとなしくせざるを得なかった。
 それから少しの間、動いているのはレティの手だけの状態が続いた。

「これがいい」

 態勢を戻したレティの手にあったのは、霖之助のチョーカーだった。

「そんなもの、どうするんだい?」
「持って行くのよ」

 いそいそとそれを自分の首に着けながら、レティは答えた。
 外の雪はもうほとんど降っていない。

「私は他の雪女ほど秘密主義じゃないから…ふふ、いいふらしてもいいのよ?」

 そう言ってイスから立ち上がり、出口へと向かった。
 霖之助も何となくそれに着いて行く。
 ドアをくぐり少しあるたところで、レティは足を止めた。
 そこは雪が積もっている場所といない場所の境界。
 レティはゆっくりと振り返った。

「しばらくお別れね」
「…そうか」

 それでようやく霖之助は、なぜあんなにも外が吹雪いていたのかを理解した。

「寂しくなるな、とか言わないの?」
「冬が去るのは自然の摂理さ」
「つれないわねぇ」

 レティは首のチョーカーを撫でながら、ため息を吐いた。
 それに答えるように霖之助も肩をすくめる。

「冬は絶対に来るからね」

 少しだけ雪が強くなった。
 レティの姿が少し霞む。
 その表情にかげりがあらわれたのを隠すように。

「次の冬まで待ってくれる?」
「大した期間じゃない。時間はいくらだってある」

 雪がまた弱まる。
 だがレティは霞んだままだった。

「季節は円。回転したならば」
「ええ。縁が合ったら、また会いましょう」

 瞬間、視界をふさぐ強風が吹いた。
 寒さ突きささる冬風ではなく、春を告げる一番の風が。
 たまらず霖之助は目を閉じ、そして開いた時にはもう彼女はいなかった。
 彼女がいた場所に小さな雪だるまを残して。








『あなたにまた会いたい』

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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