植木投げの法
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渡し合うのだと彼女は言った

 某スレッドに書いてあった早苗と霖之助の関係性に納得。
 そうだよなぁ。

 バレンタイン前日ですね。
 なので、早霖でバレンタイン前日の話を。
 意地でも当日には書きませんよ。
 そしてどうしても煩悩方向に行くss。
 私はいったいどうしたらいいのでしょう。まぁいいか。
 …幽香のと被っ(以下略

『渡し合うのだと彼女は言った』

 発端は、山の上の巫女だった。
 二月の初めに、ふと彼女が話題に出した『バレンタインデイ』。
 その噂が幻想の端から端へ駆け巡るのに、五日もかからなかった。



「なんか大騒ぎになってしまいましたね」
「まったくだ」

 二月十三日、『決戦』前夜。
 香霖堂には早苗と霖之助がいた。

「意外とみなさん、外の世界の行事に興味あるんですねぇ」

 ブン屋や吸血鬼のようなお祭り好きならともかく。
 普段は超然としている霊夢や妹紅までもが浮足立っている。
 早苗は少し、面白くないと感じていた。

「どうかしたのかい?」
「えぇ、まぁ…。外の世界で見飽きた光景なんです、よねぇ…」

 冷めた目で、勘定台に頬杖を付いた。
 養豚場の豚を見る目…とまでは行かないが、それでも機嫌がいいとは言い難い。

「口を滑らせた私も悪いんですけどね」

 はぁ、とため息を吐いた。
 霖之助は普段見せないような物憂げな彼女に戸惑っている。
 しかし、なおも彼女の愚痴は止まらない。

「外でも、こう言うのが退屈で面倒で仕方なかったんですよ。…男の子が不審者みたいにそわそわして、女の子が騒いで浮足立って…」
「………」

 またため息を吐く。
 頭がさらに沈み込み、とうとう霖之助とも目線が合わなくなってしまった。
 ここに来る前に酒でも呷ったのかと思うほど、彼女は落ち込んでいる。
 なんとか宥めないと、そのうち泣きだすかもしれない。
 霖之助は少し焦っていた。

「明日は、思い人に思いを告げる日だ、って言ってたね」
「…? ええ、まぁ」

 質問の意図がよく飲み込めないまま、早苗は霖之助の動向を見守る。
 勘定台の下に手を突っ込み、そのままごそごそ探っている。

「でも僕が聞いた話だと、日頃世話になっている人に感謝する日だ」

 ようやく探し物が見つかったのか、体勢を元に戻して、早苗の前に手を出した。
 持っていたのは、包みに入ったベッコウ飴。
 未だ早苗は意図を掴みきれていない。

「つまらないのは、参加していないからかもしれない。一緒に騒げば、もしかしたら、楽しくなるかもね」

 包装を解き、飴を早苗に咥えさせる。
 そこでようやく、霖之助が何を言いたいのか悟った。
 唇で挟んでいるだけの飴を口内に導く。
 昼間に諏訪子や神奈子に散々味見をさせられたチョコレートとは、また違った甘さだった。

「…まぁ、そう言うことにしておきますよ」

 飴を口の中で弄びながら、器用にため息をついた。
 早苗の機嫌が直ったのを見て、霖之助は胸をなでおろした。
 しばらく飴を舐めていた早苗が、ふと何かを思い出したように顔をゆがめる。
 楽しそうではあったが、霖之助の背に冷や汗をかかせる類の、そんな笑顔。
 その顔のまま霖之助のメガネを外し、勘定台に置く。

「早苗さん、何かよからぬことを考えてないかい?」
「いやですねぇ、これでも現人神ですよ?」

 言うが早いか、早苗は霖之助の頭を抱え込んで、唇を押しつけた。
 そのままベッコウ飴と共に霖之助の舌をねぶっていく。
 しばらくそうして硬直していたが、口の中に飴がなくなり満足したのか、早苗はホールドを解いて唇を離した。
 銀色の線が一瞬、二人の間に渡っていた。

「霖之助さん、その場合…渡し合うんですよ」

 口の中の残滓を味わいながら、早苗はそう呟いた。





「勝負あり、ですね」

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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