植木投げの法
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ブレーズ・パスカルの言う事には
 地霊殿と星蓮船買って来た記念に、以前リクエスト頂いたさと霖を。
 なんと言うか、正直、パルスィよりもさとりの方がダウナーな印象がしたので、こんなになってます。
 ぐだぐだですいません。

 イージーですら人型お燐に会えてません。星蓮船でも雲おじさんまでです。撲殺されました。
 ヘタクソにも程があるぜ、生植木よぉ…。

 続きからどうぞ。


『ブレーズ・パスカルの言う事には』




 寒さも本格的になってきて、香霖堂のストーブはフル稼働だ。
 あのスキマ妖怪に会うのは気が進まないが、この調子では頻繁にそうなってしまうだろう。
 折角の穏やかな冬が、途端に憂鬱になる。
 ふと本から勘定台に目を移せば、霊夢が使っていた湯のみが置いてあった。
 底のほうに僅かにお茶を残したそれは、何故か彼女専用と言う暗黙の了解が成されている。
 そもそもこれは霊夢が持ってきたのだったか、それとも元々ここにあったのか…。
 そんな考えを巡らせていると、来客を知らせるドアベルが控えめに鳴った。
 目を向ければ、そこにいたのは見覚えの無い少女。
 桃色の髪に奇妙な目玉。
 あれは第三の目だろうか。そうならば、まさか彼女は…

「無愛想だとは聞いてたけど、まさかここまでとは思わなかったわ」

 呆れたように、その少女は口を開いた。
 慌てて「いらっしゃい」と言ったのだが、その時にはもう興味を失っていたらしい。
 僕の方から目線を外し、商品を適当に弄っている。
 なんと言うか、非常に気まずい。
 確かに彼女が無言と言うのもあるのだけど、一番大きな理由はあの目だ。
 三つめのあの巨大な目が常に僕を見ているから。
 彼女がどこへ行こうと、あの目が常に僕を捉えている。

「不気味なのは目だけ?」

 不意に彼女が話しかけてきた。
 …まぁ、大して驚くべきことではない。
 彼女の事は魔理沙から聞いている。
 なんでも…

「そう、人の心を読むの。知ってたのね」

 知りたいと思って知った訳ではないけどね。
 僕は肩を竦めた。
 心が読めるなら、分かっただろう。
 彼女が地底探検の話を自慢げに話していたのを。
 まぁ、地獄鴉の話は少し面白かったが。

「心を読めるのが、不気味じゃないの?」

 心を読むだけなら大したことじゃない。
 僕としてはやましい事なんて何も考えてないし、読まれたところで。
 それに人の心を読んでるような存在はいくらでもいる。

「読んでるような、じゃなくて読んでるんだけど」

 さっきも言った…なくて思った通り、読むだけじゃ大したことはない。
 それで相手に付け込んでくるようなやつが問題なんだ。
 例えばスキマ妖怪とか、巫女とか。
 性質の悪さが段違いだ。

「へぇ」

 人の心を読もうが読むまいが、お客は大事にするけど、どうだい?
 例えば、今手に持ってる置物とか。
 それはモッキンバードと言って、用途は『家族にプレゼントする』と『壊れていたら首をへし折る』だけど。

「珍妙な用途ね。面白いわ」

 それは良かった。
 で、どうする?
 今なら少しまけるかも知れないけど。

「そう。確かここは物々交換でも」

 ああ、それでいいよ。

「じゃあ…これ、鬼の角」

 鬼の角って…
 …折ったのかい?

「折れたのよ。角なんかいくらでも生え換わるし、一本くらいなら大した事ないわ」

 大したものなのだが…。
 まぁ、彼女がそう言っているんだし、それに甘んじよう。
 彼女から角を受け取り、代わりに僕は袋を差し出した。
 せめてものお釣りだ。
 それくらいなら受け取ってくれるだろう。
 袋に商品を入れ、彼女に渡す。
 それを腕に掛け、満足したのか踵を返した。

「あ」

 何かを思い出したのか。
 彼女は僕の方に振り向き、人差し指を立てた。

「最後に一つだけ」

 などと、どこかの刑事のような事を言いながら、僕の方に近付いてきた。
 そして立てた指を僕の前に出し

「なんで私が何もしないと思ったの?」

 機嫌を損ねてしまっただろうか。
 まぁ、妖怪は恐れられてこそなので、しょうがないとも言えるが…。
 思っただけで、理由は考えていない。
 強いて言えばなのだが…。
 僕は敢えて口に出すことにした。

「ある人間の言った事なのだけれど…」
「…?」
「人間は考える葦なのだそうだ。道の真ん中に生えている邪魔な葦ならともかく、道端にひっそり生えているような物を千切るほど分別が無いようには見えなかったからね」

 てきとうに言ってる事なんか文字通りお見通しだろう。 
 だが彼女も敢えて、その事にはつっこまなかった。

「なら、さっき思い浮かべたスキマや巫女は?」
「彼女たちから見たら、人も妖怪も小石みたいなものさ」

 葦ですらない。
 躓くようなら蹴っ飛ばすくらいの認識だろう。
 そもそも彼女たちは飛べるから、躓く事も無いのだけれど。

「面白いわね、あなた」

 なかなかに今さらな評価だよ。
 僕はもう一度肩を竦め、ため息を吐いた。

「でも、さっきのセリフを言った人間は、蝶の羽ばたきが竜巻を起こすかも、とも言ってるはずよ」

 それは初耳だ。
 普通に考えればそんなことはない。
 蝶の羽ばたきになにか呪術的な経路があるのだろうか…。

「あなたは葦と言うより蝶ね。些細な因子なのに巨大な結果を生み出してしまう」
「蝶のように可憐ではないけどね」
「あら、地味で冴えない蝶もいるわよ?」

 それを言って満足したのか、彼女は再び踵を返し、肩越しに手を振って店を出て行った。
 来たときのように、ドアベルが控えめに揺れていた。



 話してみると、なかなか面白い相手だった。
 だが一つ、分からない事があった。
 彼女の言う大きな結果が何なのか。
 僕は霊夢の湯飲みを眺めながら、それについて考えを巡らせるのだった。



テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学

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