植木投げの法
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竜宮の使いの恩返し

 欲しいものが手に入って、ついうっかり書いてしまいました。
 衝動で書いた上に、リハイリがてらなので大した文ではないです。
 読む際はご注意を。

 『竜宮の使いの恩返し』




 ある時、幻想郷に森近霖之助と言う見た目だけは青年の半人半妖が住んでいた。
 霖之助はある日、魚を飼うために、店の横に池を作り出した。
 地下の水脈を見出し知り合いに手伝ってもらいつつ穴を掘った。
 強い日差しにも負けずに、一心不乱に池を形作った。
 そして先日、ついにその池は完成した。
 水を一杯に湛えたその池は深く大きく美しく、ただ魚を飼うためだけの割には丹精篭もった出来だった。
 あわよくばその魚を増やして売るつもりだったのかもしれない。
 さて完成した池に入れる魚を捕まえに行こうかと山の麓の川へ赴いたところで、霖之助はある女性と出会った。
 薄桃色の衣を纏った、青い髪の美しい女性だった。
 霖之助は後で知ることになるが、名を永江 衣玖と言う竜宮の使いであった。
 衣玖は川岸に横たわり、だいぶ憔悴していた。
 その日に限って妙にお節介だった霖之助は、気紛れで衣玖を介抱した。
 どうにか喋れるまでに回復した衣玖は、霖之助にこう語った。

「手当てしていただき、ありがとうございました。実は私、ある過ちを犯したがために天上から追い出されてしまったのです。食べることも一所にとどまることも出来ずにこの辺りをさ迷っていたのですが、遂に倒れてしまいました。もし私を哀れだと思っていただけるなら、どこか私に宿るところと食べ物を、どうか――どうか」

 こうして霖之助は、余りにも悲壮に弱弱しく嘆願されたので、霖之助は「これも何かの縁だろう」と考え、頷いた。

「僕の店に参りましょう。食べ物もまあ、ある程度ならありますし」

 衣玖は霖之助に連れられ、香霖堂にやってきたのだった。
 思いのほか衣玖は霖之助と香霖堂を気に入ったらしく、一月ほどそこに留まった。



 そして季節が一つ過ぎ、山が黄色や赤に染まり始めた。
 香霖堂の周辺の景色は変わっても、香霖堂の中身はさして変わっていなかった。
 あいも変わらず衣玖は霖之助に世話になっている。
 養ってもらいっぱなしだった衣玖は、これでは不味いと思い、霖之助に恩を返そうと考えた。
 そこから衣玖の苦悩が始ったのだった。

 まず手始めに、店の横にあった池の手入れでもして見ようかと思ったら、それがすっかり手入れされていた。
 水中で心地よさ気に泳いでいる鯉やマスが恨めしい。
 どうしようもなくてしばし眺めていたが、いつの間にかいた霖之助が衣玖の肩を叩いた。

「君も元は魚だからね。池を綺麗にしておけば、君の機嫌もよくなるかと思ってね」

 元は魚なわけでもないのだが、霖之助の気遣いを素直に受け止めて、感謝した。
 しかし同時にやることも見失ってしまったので、また衣玖は恩返しを考えていた。

 次に考えたのは、霖之助と良人をめぐり合わせることだった。
 妖怪の恩返しといえば、それが基本だ。
 そして奮闘すること数十日。
 衣玖はありとあらゆる所へ赴き、霖之助と引き合わせた。
 しかし、その試みはことごとく成就しなかった。
 香霖堂によくやって来る二人とも、スキマを繰る妖怪とも、西行の者とも、永遠亭の薬師とも深い仲になることは無かった。
 霖之助の朴念仁っぷりは、衣玖の想像をはるかに超えていたのだった。

 その後もあらゆることを試した衣玖だが、その全てが失敗に終わった。
 悪天候を予報しようにも、しばらく天気は悪くはならず、紅玉を作り出そうとして血の涙を流そうとすれば、霖之助は柄にも合わない冗句を言って衣玖を笑わせた。
 季節はもう、木枯らしが吹き始めるころだった。




「私はなにか、貴方に出来ることは無いのでしょうか?」

 共に店番をしているおり、不意に衣玖は霖之助に問いかけた。
 霖之助は少し戸惑った。
 が、不安そうな顔をしている衣玖を見つめて、淀み無くこう言った。

「別に、君に特別してもらいたいことはないよ」

 それを聞いて、衣玖は更に不安に顔を翳らせた。
 しかしそれを宥めるように、霖之助は続けた。

「僕の隣に立っていてくれれば、それで構わない。君が居てくれるだけで、僕は幸せだ」

 驚いたように目を向けた衣玖に、霖之助は柔らかく微笑んで見せた。
 気がつけば、衣玖の顔は朱に染まっていた。



 その後、大赦の報せがいくら来ようと、衣玖は天上へは帰らなかったという。

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