植木投げの法
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昼休み
 誰も見てない、無茶苦茶するなら今のうち。
 と言うわけで、なんとなく思い浮かんだオリジナルでも。
 あくまでなんとなく思い浮かんだ物なので、いい出来とは言い難いですが。


『昼休み』








「相変わらず、君の弁当はにやる気が見受けられないな」
「いや、俺の弁当に文句をつけられても」

 暖かな日差しと涼しい風が入り込んでくる午後1時。
 生徒は昼飯に若干テンションを上げ、小銭の憎たらしい音や耳障りな甲高い声が教室に木霊している。
 そんな中、俺はここに来る前までは小学校以来やっていなかった『机をくっ付けてお昼ごはん』などと言うものをしているわけだが。
 中身の痴れた弁当箱を開ければ、そこに詰まっているのは今朝解凍したばかりの冷凍食品。

「相変わらず、君の弁当はにやる気が見受けられないな」
「いや、そんな文句つけられても」

 呆れ帰っていた俺に掛けられた声で、俺は顔を上げた。
 目の前には、もはや俺にとっては馴染みになってしまった女子がひとり。
 容姿は端麗だが、如何せん性格に難がある。
 いわゆる『社会不適合者』と言うやつだ。

「自分で作っているのだろう?」
「まぁ、一応」
「手作り弁当が笑わせるな。作っているのは概ね冷食会社ではないか」

 ニヤニヤ人の悪い笑みは、コイツのデフォルト。
 きっと生まれたときから意地が悪かったんだな。
 一晩中無意味に泣いてたりして。
 なんとか反論材料を探さなければ、このままズルズルとアイツのペースに引きずり込まれてしまう。
 まぁ、こう言う時は、同じように昼食の内容で行くか。

「…そう言うお前こそ、お年頃の女の子としてはどうなんだ?」
「何を言う。カロリーメイトは素晴らしい食べ物だ」

 と、なんでか無い胸を張られてしまった。
 随分と自信たっぷりだ。
 若干気圧されつつも、俺は譲らない。
 …つもりだ。

「へぇ、なんでだ?」
「美味いではないか」
「それだけかよ!?」

 ついツッコんでしまった。
 不覚だ、コイツにツッコミを入れるだなんて。

「それだけだが、どうかしたのか?」
「どうかしたかってそりゃお前、もっとこう、合理的さとかさ、もっとないの!?」
「手頃だし、手早くある程度のカロリーも取れる。保存も利くぞ」
「あるじゃん!」

 またツッコミを…俺は自他共に認めるボケなのに。
 だいたい、比率がおかしいんだ。
 俺の周りではボケが多すぎる。
 そのくせ大してボケないし、収拾も付けないし…。
 ボケっぱなしって駄目だと思うんだ僕!
 そんなんだから日本の経済は…

「どうかしたか?」
「いや、なんでもない」

 思わず経済に思いを馳せてしまった。
 落ち着け俺、今の日本の経済と俺の周囲のボクツッコミの比率はそんなに関係ないぞ…!
 顔を伏せてなんとか気持ちを静めた俺は、ふとなにも茶々を入れてこないアイツに気がついた。
 顔を上げてみれば、割と俺の事を気遣っている顔が合った。
 あの人の悪い笑みは形を潜めていた。
 …しかしコイツに心配される日が来るとは、世も末であると言わざるを得ないだろう。
 若干気恥ずかしかったので、俺は話を逸らすことに決めた。

「なんだ、俺の顔色はそんな面白い色になってたか?」
「ああ、なんだか日陰に置いていたらキノコでも生えてきそうな色だった」
「何色だよ! あれか、緑か、灰色か!?」
「いやなんというか、水星人色というか…」
「地球外!? いやちょっと待て、お前の中じゃ水星人は、日陰に置いとくとキノコ生えるイメージなのか?」

 などと話をしているうちに俺の弁当は半分まで減っており、アイツはカロリーメイトを食べきっていた。
 解凍に失敗していたシュウマイが妙に不味い。
 まったく、気が滅入る。

「まぁそんなことより、君は来週の中間テスト、どうするつもりだ?」
「どうするもこうするも、特にすることも無いだろ」

 ちゃんと授業を聞いていれば、少なくとも赤点の危機は無い。
 良い得点はあまり期待できないが。
 しかし俺の前にいるなんとか権現は俺の言葉を気に入らなかったらしい。
 凄い睨みつけてくる。

「解せないな、私は家であんなに頑張っているというのに」
「お前の頑張りなんか知らん」
「そう言うな、この一年半でノート二割分くらいだが」
「少ねぇ!」

 自信満々にまた胸を張られた。
 だからそんな面白みの無い胸を張られても、こっちは全然嬉しくないんだって。
 呆れながらも、俺は最後のシュウマイを胃に押し流す。

「ん、食べ終わったか」
「ああ、ごちそうさま」

 コイツに言ってもしょうがないんだけどさ。
 弁当箱を仕舞い終わると、急に手持ち無沙汰になってしまった。
 しばらくジッとしていたが、俺よりアイツが耐えられそうに無かった。
 何も無いことが嫌いってのは難儀だなぁ。
 しょうがなく俺はサイフを持って立ち上がった。

「飲み物でも買いに行くか?」
「私はサイフを持ってきてないんだが」
「俺が奢ってやるよ」

 気前がよく聞こえるかもしれないが、ウチの学校の飲み物は概ねの学校の多分に漏れず安い。
 百円かそこいらでコイツの機嫌が取れるのなら、安いものだ。

「すまないな、これからもお世話になる」
「今日だけだバカヤロウ」

 ニヤニヤと笑いながら、アイツは俺の前に立った。
 何か企んでると分かっているが、もう立ち上がってしまった以上、奢ってやると言ってしまった以上、俺は自販機前まで行かなければならない。
 まったく、迂闊なことを言うものじゃないな、と俺は思わずにいられないのであった。

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