植木投げの法
東方のssをやってます。霖之助中心です。リンクフリーでございます。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
When I was』

 また変な方向に話し逸れてますよ。
 ある人の幼少時代の話です。
 口調ですぐわかりそうですが。

 ちなみに、中途半端ですがお許しを。
 タイトルはあれなので、また変えるかもしれません。




『When I was』




 随分昔の話。
 まだ私が幼かった頃の事だ。



 私は不機嫌だった。
 別に私がいる場所が不満なのではない。
 むしろここは私のお気に入りだ。
 人里を少し離れた森の、少し開けた場所。
 木漏れ日が優しくて、吹く風は涼しい。
 本来なら私だけのその場所に、嫌な顔を見つけたから、私は今機嫌が悪い。

「…そんな目で見ないでくれ」

 なんて人の気持ちを知らない事を言う男だった。
 銀の髪を掻いて、手に持っていた本を閉じた。

「こんな目で見られたくなければ、さっさとここから出て行け」
「それはしたくないな」

 あっさりと、その男は答えた。
 あまりにも簡単に言われたので妥協しかけたが、許すわけには行かない。
 ここは私の特別なんだ。

「なんでだ」
「僕に動く気がないから」
「お前が怠惰なだけじゃないか!」

 思わず叫んでしまった。
 あたりの気にとまっていた鳥が一斉に飛び立ってしまう。
 しかしそんな事気にしてはいられなかった。
 この不愉快な男を、一刻も早くここからたたき出したかった

 しばらくして、ソイツは諦めたように去っていった。
 私は満足感に浸りながら、木の根元に腰掛けた。




 しかしその後、その男は度々ここを訪れた。
 いくら追い払ってもまた来るので、もう私は構わないようにした。
 気にしないでいたら不思議とその事にも慣れて、いつしかその男はその風景の一部となっていた。




 その日私は、喧嘩をした。
 余りにも分かり易い弱いもの虐めだったので、見かねて仲裁に入った。
 それで巻き込まれてこのザマだ。
 服はボロボロで所々破けて、血が滲んでいる。
 助けた子供には感謝されたが、服を直さなければならなくなった親に申し訳なくなって、お気に入りのあの場所に来てしまった。
 相変わらずそこにはあの男が座って本を読んでいた。
 私の足音に気がついたのか、ゆっくりと振り返り、間髪入れずに驚愕した。

「ど、どうしたんだ、それ」
「……別に、なんでもない」

 私はその目線に触れるのが嫌で、あさっての方向を向いてしまった。
 いつもどおり、木の根もとの定位置で腰を下ろす。
 傷が少し痛かった。
 しばらくその男は躊躇していたが、意を決したように私の所に歩み寄ってきた。
 そして懐に手を入れて、何かを取り出した。

「そう警戒しないでくれ。これは『バンドエイド』と言って、外の世界の傷薬のようなものだ」

 不思議なことだが、私は少しも警戒していなかった。
 確かに長いあいだ同じ空間にいたが、あまり話したこともない。
 ほぼ他人のような相手なのに。
 ソイツは私にその『ばんどえいど』とやらの使い方を教えて、ついでに一つ私の頬へ貼った。
 そしてまた懐に手を入れ、今度は針と糸を取り出した。
 どうやら服のほうを応急措置するつもりらしい。
 私は黙ってそれを見ながら『ばんどえいど』を貼っていった。

「…まぁ、これでなんとか見れるようになったよ」

 そう声を掛けられて、私は服の修理が終わっているのに気がついた。
 まだ多少汚いが、さっきよりはかなりマシになっている。
 礼を言おうとしたが、疲れが私に圧し掛かってきて、言うことはできなかた。
 そいつは一息を吐いて、私を抱え、自分の膝に座らせた。
 猥褻なことでもするのかと思ったが、櫛をとりだして髪を梳いただけだった。
 …なんでも持ってるのか、こいつは。
 手つきが妙に手馴れていて、心地よかった。

「まったく、綺麗な髪なのにもったいない」
「…きれい?」

 ポツリとそいつが呟いた事に反応してしまった。
 髪の毛が綺麗だといわれたのは、初めてだった。

「ああ、君の髪は綺麗だ。銀に青が混じってるなんて、珍しいしね」

 頭を撫でられた。
 大きくて、少し硬い掌だった。
 その掌に安心してしまったのか、私はあろう事かほぼ他人の膝の上で眠り込んでしまった。




「そろそろ起きないかい?」

 そう言われて、私は目を覚ました。
 慌てて見上げた空はほんのり赤く、間もなく夕暮れであることを示していた。
 もう帰らなければいけない。
 私は跳ね起きて、盛大にこけた。
 私を乗せていた男が慌てて私を抱き起こした。

「焦っちゃ駄目だ、まだ沈みきるには早い」

 また助けられた。
 そこで私は、まだ礼の一つも言っていないことに気がついた。
 急いで振り返り、目を見つめる。
 綺麗な金の目をしていた。

「あ、ありがとう。助かった、えぇと…」
「そう言えば、名乗ってなかったね。僕は…そうだな、森近。森近霖之助だ」
「そうか、ありがとう、霖之助。私は慧音だ」
「覚えておくよ」

 今度こそ足元を確認して、私は駆け出した。
 そろそろ本当に日が沈む。
 『霖之助』と言う名は、不思議なほど深く心に刻まれた。
 私がその理由に気がつくのに、そう長い時間はいらなかった。











「と、これが私と霖之助の馴れ初めだ」
「…あ~、そんな事もあったね」
「なに、こいつの捏造とかじゃないのか!?」
「鬼め、私はそんな姑息なことはしない」
「嘘吐くなこのド外道!」
「ふん、仮にも教師のこの私にそんな事を言うのか?」
「喧嘩売ってるだけだ、気にするな」
「分かった。その喧嘩、熨しつけて買ってやろう」

 そして始まった白沢と鬼の修羅場。
 店主は深くため息を吐いた。

「昔はあんなに可愛かったのにな」



コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 植木投げの法 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。