植木投げの法
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回想する図書館
 霖之助スレッドですばらしいネタを見つけてつい衝動で書いてしまいました。
 うっかりです。

 パチュリーの霖之助に対する一人称がなんだか変だったりしますが、仕様です。
 急いでいたのでだいぶ短いですが、ご容赦ください。


『回想する図書館』

 ハラリと本を捲る音がした。
 大図書館に響く唯一の音だった。
 小悪魔は今、使いに出していていない。
 買い物に指定した場所は香霖堂。
 彼が居るところだ。

「…霖之助、兄さま」

 知らず、私は呟いていた。
 もうずっと、兄さまの前では使っていない二人称。
 昔ならいざ知らず、今の私では恥ずかしすぎる。
 そう、今の私は昔の私とは違うんだ。
 置いていかれたとは思ってない。
 兄さまは兄さまのしたいことをしに行っただけ。
 私がどうこう言えることではない。
 でも、ほんの少しだけ後悔している。
 兄さまが霧雨に行く前に私が兄さまを求めていれば、今ごろ私の隣でずっと一緒に本を読んでいてくれたかもしれない。
 私の喘息が酷くなければ、私も共に霧雨の家へ行けたかもしれない。
 兄さまが来るのを、こんなにも焦がれないでも、手を伸ばせば、触れられたかもしれない。

「霖之助兄さま…」

 また知らず、私は兄さまを呼んでいた。
 霧雨の家に兄さまが行き、会わなくなって、気がつけば60年もの月日が立っていた。
 最初は知らずの内に兄さまを求め、さ迷い泣いていた。
 次第に兄さまが居ないことに慣れて、また本を読むことにのめり込んだ。
 そして数年前、兄さまが久しぶりに私を訪ねて来たとき、私は兄さまを忘れていた。
 また私は、本を読むことに没頭して、兄さまを忘れていた。
 そのことに気付いて、私は悔しくて、兄さまに泣いて謝った。
 兄さまがそんな事を気にしないのは昔と変わらなかった。
 泣いている私の頭を撫でて、私を慰めてくれた。
 今でもその感触は忘れていない。
 兄さまは度々私の図書館を訪れる。
 私はその日を楽しみにしている。


 気がつけば、小悪魔が出かけて4時間が経っていた。
 用件を済ますだけなら、これだけの時間はかからない。
 まさか、兄さまを誑かしているのだろうか。
 …折檻の準備でも始めようか。
 そんな事を考えて、本を捲るのを忘れていた手をまた動かそうとしたその時だった。
 図書館の扉が開き、二つの影が中に伸びてきた。
 私は本を読むフリをして、チラとそっちを覗き込む。

「こんにちは、パチュリー。また来たよ」





 小悪魔の折檻は、また今度にすることにした。


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